最近、一部の民間事業者のホームページ・リーフレットや営業活動等において、自家発電設備の負荷運転に関して次のような不適切な情報を発信している事例がみうけられますので、ご注意ください。なお、このような不適切な情報発信をしている事業者を発見した場合は、消防庁予防課「03-5253-7523」までご連絡ください。
・点検用キットを購入等すれば無資格でも点検可能ですか?
特定の団体や企業が開催する講習を受けて、当該団体等から点検用キット(数十万円)を購入すれば、資格(消防設備士又は消防設備点検資格者)がなくても自家発電設備の負荷運転による点検を行うことができ、1回の点検で数十万円の報酬になるなどの営業活動等を行っている例があります。
A.
消防法令上、自家発電設備の設置が義務付けられる規模の建物においては、消防用設備等に関する知識や技能を有する資格者(消防設備士又は消防設備点検資格者)による点検が必要となります。
・消防庁や消防本部が点検を依頼することはありますか?
消防庁や消防本部の名前を使用して、消防庁や消防本部から依頼を受けて負荷運転を実施しているなどの営業活動等を行っている例があります。
A.
消防庁や消防本部が、特定の団体や企業に負荷運転を実施を依頼をすることはありません。
・消防法令に基づき1億円の罰金が適用されますか?
負荷運転を実施していない建物所有者等には、消防法第44条又は第45条に基づき1億円の罰金に処せられるなどの営業活動等を行っている例があります。
消防法第44条第11号では、消防法第17条の3の3の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者に対して、30万円以下の罰金又は拘留に処するとされています。また同法第45条第3号では、行為者のほか、法人に対しても30万円以下の罰金刑に科すとされています。
A.
負荷運転のみが実施されていないことのみをもって即座に当該罰則が適用されることは通常ありえませんが、第17条の3の3では、点検基準に従って定期的に点検を実施することが義務付けられていますので、消防本部からの行政対象になります。
・東日本大震災等では多くのものが作動しなかったのですか?
東日本大震災などの大規模地震時において自家発電設備の多数が作動せず、その原因が負荷運転の未実施であったので負荷運転を実施すべきであるなどの営業活動等を行っている例があります。
A.
(一社)日本内燃力発電設備協会の調査では、東日本大震災や平成28年熊本地震などの過去の大規模地震時において負荷運転の未実施のみが原因で自家発電設備が不作動、停止した事例はありません。ただし、バッテリー放電や燃料フィルターの目詰まりなどのメンテナンス不良により不作動、停止した事例が一定数ありますので、大規模地震時等に備え、点検基準に従って定期的に点検を実施し、不備がある場合には速やかに改修・交換等を行ってください。
・違反対象物として公表されますか?
負荷運転を実施していない建物は、消防本部のホームページ等において公表されるとの表現等を行っている例があります。
A.
違反対象物の公表制度は、各消防本部において条例を定め、スプリンクラー設備、屋内消火栓設備、自動火災報知設備が全く設置されていない等の消防法令の中でも極めて重大な違反がある建物の情報を公表している制度です。負荷運転を行っていないことで公表することとしている消防本部は、消防庁では把握していません。
消防庁
http://www.fdma.go.jp/
総務省消防庁HP
負荷運転の営業活動等における不適切な情報に関する注意喚起リーフレット参照